はじめまして、柏防水塗装店、親方の佐藤です。
まず私が塗装職人になったきっかけからお話したいと思います。
親父がペンキ屋さんで、従兄弟、親戚みんなペンキ屋。そんな家系に生まれ育ち、中学生の時から、親父の手伝いで、よく現場に行ったものです。
初めてペンキを塗ったのが、中学1年生だったのをよく覚えています。(笑)
この時はまだ、ペンキ屋さんになるとは思っていませんでした。
その当時は、考え方が幼稚でして、『勉強なんかできなくても問題はないだろう。』と浅はかな考え方を持っていたので、親の反対も顧みず、学校を辞めたものでした。
今思えば、ちょっと後悔しないわけではありませんが、若干16歳という歳で社会に出ることになりましたので、できる仕事は肉体労働しかほぼありません。
正直に話すと、マクドナルドでバイトしたり、ステーキ屋でバイトしたり、仕事をいろいろする中、最終的に選んだ先が、今に至る、塗装という仕事でした。
結局親父に弟子入りしました。
しかし、親子なんで、甘えてしまっていたんですね。しょっちゅう喧嘩ばかりでした。
ダメですね。若かったです。
そして、ここから職人人生の始まりとなりました。
色を塗っていく過程で、ものがきれいになっていく様子が、非常に興味を持つことができ、仕事が楽しかったのを覚えています。
この20年間で、建築塗装、木塗装、内装塗装、家具塗装とすべての塗装の分野を学んできました。
『職人』という分野はどの分野でも同じでしょうが、ある一定の技術レベルまでとんとん拍子に覚えていきますが、その技術レベルからの上達は非常に難しくなってしまいます。
ある程度の技術(例えば塗るという作業)までは、年数を経た職人ならばかのうでしょうが、その先の匠(その中に自分のこだわりや、丁寧さ、綺麗さ、そしてお客様への思いやり)と呼ばれる域を目指す為には、その倍以上の時間と経験、自分自身の心・考え方のあり方など、技術的成長・内面的成長を伴わないと目指すところまでは中々辿り着くことはできません。
本当の意味で考えますと、ここからが「職人」と呼ばれるスタート地点では難しいかと、私自身今は思います。
「職人」とは自ら身につけた熟練した技術によって、手作業でものを作り出すことを職業とする人となりますが、本当の意味での「職人」は、ただ手作業でものを作り出すことができるだけではなく、その作り上げるものに対するこだわりや、また、製作を依頼して下さる方々の立場にたって、ものを作り出す事が出来る人々の事ではないかと、最近は思います。
私なりの考えは。単にものを作り上げるだけの「職人」は、「職人」であっても、「職人」ではなく単に「作業員」ではないだろうかとも思います。
作り上げるものに製作者の「思い」や「心」を入れることが出来る職人こそが、本当の意味での「職人」ではないでしょうか?
この様なことを考えながら日々作業を行っておりますと、もう20年ですが、まだ20年といった感じです。
仕事として考えた場合、ある程度の技術レベルに達したとして、その中で利益を追求するように考えれば事は済むのですが、やはりこの仕事に携わっている以上、目指すのは「利益追求型の職人」ではなく、「技術追求型の職人」を目指したいものです。
技術を持ち合わせた上で、きちんと作業を行い、その対価として適切であろうと思われる利益が発生し、経営的にも仕事の内容的にも無理が生じないような工事を行えるよう、今は目標にしつつ、日々の作業を行っております。
完成したものは自分の作品となります。
その後々に残っていく作品は、自分自身の鏡であるとともに誇りともなります。
その完成した作品を見て、お客様が「本当にきれいになりました」と言って喜んでもらえますと、本当の幸せな気持ちになるものです。工事に携わる者としての最高の瞬間です。
ただ、単純に利益を追求するだけの「一業者」になるのではなく、お客様とともに気持ちや思いも共有出来るような「一職人」になれるように、これからも精進したいものだと本当に思います。
これが現実なのが悲しいことです。
どうしても利益優先となってしまっている現状がここに現れてしまいます。
仕事である以上利益を追求する事は当然でしょうが、最近は仕事の内容に見合わないような金額も、良く見受けられるようになりました。
私自身は元請けのみならず、下請け工事も今でも行っています。
下請けである以上、当然元請け業者がいるのですが、
その金額の提示に最近疑問に思うことが多くあります。
多少大きな規模でよくある話ですが、例えば1㎡塗装をする為には1000円がかかってしまうものがあるとすれば、その平気で600円でやってくれと言ってくることがあります。当然1000円かかるものを600円で行うには無理がありますので、出来ない事を伝えますと、「それでは600円で出来る業者に頼むからもういい」と断られるか「工程(塗り回数等)を減らしていいから、この金額で合わせてくれないか」と言われてしまったり。
これが現実だと思うととても悲しいものです。
価格の競争に対しての相応の努力は当然必要だとは思います。
しかし、100%赤字になると思われる金額で工事が行われてしまい、工事に不備が生じたり、品質が損なわれるようなことは、あってはならないと思います。
私は確実な工事をする上で必要な費用を、元請け業者様、お客様にご提示させて頂いております。
当初ペンキ屋さんになった頃から、絶対に独立しようと考えました。
結婚したばかりの時でして、雨が降れば休みになることが多く、仕事がなければ1週間程度の長期休暇もあるような不安定な職業よりも、これ機に安定した職業に移るべきかとも考えたこともありました。しかし、その時に初めて気付いたことがありました。
俺にはペンキ屋さんしかない!
自分で独立して安定するように頑張るしかないと思って、この柏防水塗装店を立ち上げたのがきっかけになります。
失敗するか、成功するかはわかりませんでしたが、後から悔いが残らないよう、そして、自分の気持ちに正直に生きていきたかった為に、一度きりの人生だから頑張ろうと思った次第です。
その後、幸い、まわりの人々に助けられ、おかげさまで今まで続けることが出来ております。最近、よく仲間たちと話すことがあります。
一度しかない人生だから、その人生を正直に生きていった方が良いのではないかと。
実際、正直に生きることは、大変だろうと思います。
ただやりたいことだけを、自分の思うままに行う、という気持ちに対しての正直ということも大事なことだとは思いますが、物事に対しての正直に生きるという事をきちんと行っていけることこそが、本当の意味での正直に生きるということではないかと思います。
何事にも対しても正しい行動を行うことは、時として非常に困難な時もあるでしょう。
欲にかられ正しいとされることから外れてしまう行動をとることもあるでしょう。
正しいことに辛いこと・困難なことがあれば、それから逃げ出して楽な方に行ってしまうこともあるでしょう。
しかし、それらが間違っている事だと改めて思い直し、正しい道に修正できるように努力することこそが、最も大事なことではないかと思います。
この年になり(といっても40歳前の若輩者ですが)あらためて沢山の人に支えられ、関わって生きてくることが出来たと思っております。
時には残念なことに信頼を裏切られたこともありましたが、時が経つ中で、それも自分にとって良い経験となっているように今は思えます。正直に生きるがゆえに損をすることもありますが、損得勘定だけの人生ではあまりにも淋しいではないかと思います。うれしい出来事、幸せな出来事の中に、自分が関わり〝ありがとう〟と言ってもらえ、それが出来ることを職業にしている以上は、縁ある人には正直であり、後悔はしたくもさせてくもないので、手間がかかろうと、時間がかかろうと納得のいく仕事をしたいものです。
私たちのような施工を行うことで対価を得ることが出来るような業者は、その頂くお金で私たちスタッフも含め食べさせてもらい家族を養わせてもらっているわけですから、常に感謝の心を持ち、恥じることのない人生を生きていくべきだと思います。
現在はおかげさまで、4人の娘を育てています。
柏、流山、松戸、我孫子、本当に良い街です。
長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
恥ずかしがり屋な為、写真は後ろ向きです。
顔は見積時に見て下さい(笑)
それでは失礼いたします。ありがとうございました。